いつもどおりに始まった片瀬西浜のビーチコーミング…のはずだった

2014年10月18日(土)の江の島ビーチクラブ。

この日も、いつもどおりにビーチコーミング(海岸のゴミ拾い)を行うべく、ゴミ袋を持って海岸のゴミをみんなで拾い始めました。朝の設営のときから気になっていたのが、テントの前の砂浜に半分埋まった状態のレジャーシート。

｢こんなところに使い終わったシートを捨てて行くなんて…｣

とみんなで半分憤りつつ、スタッフがシャベルで掘り起こし始めました。

｢うーん、これはゴミを隠蔽しようとして埋めたのかなぁ。｣

そうやって掘り出されたシートに包まれるように、数々のゴミが出てきました。こんなにたくさんのゴミをまとめて埋めてしまうなんて…。そう思いながら、どんなゴミがあるかを調べ始めました。これもビーチコーミングで必ずやる作業なのです。

どんなゴミがあるかを知ることの意味

どんなゴミがあるのかを見ると、さまざまな情報を得られます。直径数ミリの小さなプラスチックの粒は｢ペレット｣といって、プラスチック製品の原料になる素材。なぜかこれがよく落ちています。どこかで捨てられたり、こぼれ落ちている可能性が高そうです。問題はこれは海の生き物が間違えて食べてしまう可能性がること、生分解しないのでいつまでもそこに残ってしまうこと、また小さくて拾い集めるのが困難なこともあります。

また時には日本製とは思えない印刷のある袋や、見慣れない形と文字の入った瓶などもあり、遠く海の向こうからのゴミがたどり着いている可能性があります。

また古い陶器のカケラは、場合によっては100年単位の過去のものもあり、こういったものはどこか歴史のロマンを感じますね。

これらのゴミの出所を知ることで、海岸がどこから影響を与えているのかを想像ことができます。

掘り出したゴミの様子がおかしい

さて…掘り起こしたゴミを観察してみると、どうも様子がおかしい…。缶は腐食してボロボロだし、プルタブは全部外れるタイプのもの。さらに、ポテトチップのカルビーのロゴも最近のものではないし、袋のデザインも最近のものではなく、懐かしさを感じます。
どうやらゴミのタイムカプセルを引き当てたようです。
さらにゴミを調べていくと、ファミリーマート、ロッテリアのロゴも現在使われているものではありません。

これはおかしい…ということで、いつの時代に捨てられたゴミなのかを調べるために、製造年月日の印刷が残っていないかを探しました。

インクで印刷された製造年月日はほとんどのパッケージで消えていましたが、一つだけ残っているパッケージがありました。
そこには…

｢バタピー　60　7.11.1208｣

もしかして昭和60年7月11日なのでは??。

決定的な証拠とはいえませんが、もしそうだとすると30年近く前のゴミが今現れたということになります。
また調べてみると、ファミリーマートは現在のロゴに変わったのが
｢1992年（平成4年）に現在のロゴマークに変更された｣
とあります(WiKiから引用)

なんと、少なくとも22年は経過していることになるのです。

22年前のゴミが出てくる深刻な問題とは

このゴミが出てきた原因は、もしかすると海岸がかなり大きく浸食されているからなのかもしれません。
県が公開している公式の測量では、ほとんど変化していないことになっています。
PDF]湘南海岸の侵食実態調査 – 神奈川県
http://www.pref.kanagawa.jp/uploaded/attachment/162009.pdf
海の家を建てるためのコンクリートの基礎は以前よりも露出していて、まさにそのすぐそばからこのゴミが出てきたのです。

海岸に10年以上通い続けている僕も周りの人も、口々に片瀬西浜の海岸が狭くなったと言います。
個人では正確な測量を行っていないので客観的なデータは持ち合わせていませんが、22年前のゴミが出てきたことは単に台風が2週続けてきたからというだけでは説明がつかないかもしれません。

もし本当にこれがここ数年雄侵食で現れたものだとすると、大切な海岸が消滅しないように守るには、何をすればいいのでしょうか。あまりにも大きな問題に、今は立ち尽くすのみ…です。
県では砂を入れるなどの対策を行っていますが、たとえば茅ヶ崎や逗子などの一部の海岸は侵食が止まっていません。西湘バイパスもその影響を受けて嵐の際に道路が崩れ落ちました。
この片瀬西浜も、そうならないよう今からでも防ぐ手立てはあるのでしょうか…。

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