普通にいる“アカクラゲ” — なのに野生のポリプが発見されたのは2009年!
1️⃣ はじめに
2️⃣ アカクラゲとは?基本情報と特徴
3️⃣ 2009年まで野生ポリプは発見されていなかった!
4️⃣ 潮干狩りでの注意喚起
5️⃣ 最近の観察例:のとじま水族館の珍出現
6️⃣ まとめ
1️⃣ はじめに
海水浴や潮干狩りのシーズンになると、日本の沿岸でもよく見かける**「アカクラゲ」**。
赤い放射状の模様と長い触手が美しく、しかし刺されるととても痛いことで知られています。
そんな身近なアカクラゲですが、実は意外な「発見の歴史」があります。
野生のポリプ(定着している幼体)が見つかったのは、つい最近の2009年だったのです!
この記事では、その驚きの事実と、アカクラゲの特徴・最近の話題もあわせて紹介します。
2️⃣ アカクラゲとは?基本情報と特徴
学名: Chrysaora pacifica
英名: Japanese Sea Nettle
生息地: 日本近海(西南太平洋)、**12〜25℃**の亜熱帯海域
主な特徴(出典:Aquarium of the Pacific):
傘(かさ)は金〜赤色で、濃い放射状の模様が入る
サイズ:傘直径 約30cm、触手は最大約3m
**口腕(こうわん)**も非常に長く、触手とともに獲物を捕獲
食性:肉食性で、クシクラゲ、小魚、動物プランクトンなどを捕食
繁殖:有性・無性の両方で行い、ポリプ→エフィラ→成体へと変態
毒性:比較的軽度だが、人が刺されると発疹や火傷のような跡が残ることがある
行動面でも興味深い点として、傘の動きにより進んだり停止したりし、休止時には傘が8つ星型に見える独特の形状をとります。
👉 詳細な特徴は Aquarium of the Pacific – Japanese Sea Nettle に詳しく掲載されています。
3️⃣ 2009年まで野生ポリプは発見されていなかった!
ここからがこの記事の一番驚きの事実です。
アカクラゲといえば、日本沿岸では春から夏にかけてごく普通に見かけるクラゲです。
その赤い縞模様の美しさ、そしてうっかり刺されると強烈な痛みを伴うことで有名。
そんな身近な存在のクラゲなのにーー、野生で「ポリプ(幼体)」が実際に見つかったのは、つい最近、2009年のことだったのです!
It was not until 2009 that the polyps of the Japanese sea nettle were discovered in the wild and then the discovery was accidental.
(2009年になって初めて、日本海域でアカクラゲの野生ポリプが発見された。それも偶然の発見だった。)
— Aquarium of the Pacific
■ 発見の経緯
きっかけは、日本の科学者が別のクラゲの調査をしていた時のこと。
その調査中、思いがけず目に留まったのが、死んだカニの殻、二枚貝の殻、石の表面に付着していた、**小さなポリプとプラノサイト(休眠中のポリプ)**だったのです。
「まさか…これは?」と言ったかどうかは定かではありませんが、
研究チームはその付着物を丁寧に採取し、研究室で慎重に飼育を始めます。
そして、水温や塩分などの条件を整えた結果、ついに…!
ポリプから「ストロビレーション(横分裂)」が起き、エフィラ幼生(クラゲ型の赤ちゃん)が放出!
このエフィラの形態が、まさしくアカクラゲのそれであることが確認されました。
こうして、**「日本の海にアカクラゲの野生ポリプは実在していた」**という事実が、科学的に初めて証明されたのです。
■ なぜそれまで見つからなかったのか?
それにしても、どうしてこんな身近なクラゲのポリプが、2009年まで誰も発見できなかったのでしょう?
その理由にはいくつかのハードルがありました:
極めて小さく、目立たない。
付着する場所(基質)がとても限定的で、普段の調査で狙って探すのは至難の業。主に貝殻やカニ殻、石などの表面にこっそりと存在していた。
エフィラを放出する(=種の同定が可能になる)には、きわめて限られた環境条件が必要。水温・塩分・栄養状態が揃わないと、ポリプは沈黙したまま休眠を続けてしまう。
つまり、「そこにいるのに見えない存在」だったわけです。
たまたま、2009年のその調査で偶然にも条件が揃った場所で採取されたからこそ、歴史的な発見に至ったのです。
4️⃣ 潮干狩りでの注意喚起
最近の話題として、潮干狩りの時期にアカクラゲの「打ち上げ個体に子どもが刺される事故」が報告されています。
ゼリー状の赤い線があるクラゲはアカクラゲの可能性大。
子どもが素手で触らないよう、保護者の方は注意を呼びかけています。
TBSニュース → 潮干狩りでの危険生物に注意喚起
5️⃣ 最近の観察例:のとじま水族館の珍出現
石川県ののとじま水族館でも最近、アカクラゲの観察例が増えているという報告がありました。
一時期はクラゲ自体が減っていたが、最近はミズクラゲ、カブトクラゲ、そしてアカクラゲも時折出現しているとのこと。
環境変化による影響も今後の注目点になっています。
6️⃣ まとめ
日本近海で身近に見られるアカクラゲ
でも、野生のポリプは2009年まで発見されていなかった!
近年では潮干狩りでの事故や水族館での観察例など、より注意と観察が必要な存在に。
アカクラゲの生態の奥深さと、まだまだ研究の進むクラゲの不思議な世界にぜひ興味を持っていただけたらと思います✨。
👉 詳しい生態情報は:Aquarium of the Pacific – Japanese Sea Nettle
今日のクラゲ
属名:アカクラゲ
学名:Chrysaora pacifica
著書:ほんわかクラゲの楽しみ方
「ほんわかクラゲの楽しみ方・ゆらゆら、ふらふわ。眺めて、癒される。」
クラゲの柔らかで優しい魅力と不思議な生態をわかりやすく伝える、
クラゲ初心者にもお勧めの一冊です。
・平山ヒロフミ著
・アクアパーク品川監修
・誠文堂新光社
・Amazonに見に行く
Instagram: