ふっくら…インドネシアンシーネットルが記憶する?

和名:インドネシアン・シーネットル(インドネシア・シーネットル)
英名:Indonesian sea nettle / Malaysian Sea Nettle
学名:Chrysaora chinensis
ミズクラゲは「覚えて選ぶ」?
ふわふわ漂うだけに見えるミズクラゲに、私たちの見方を少し変える研究が報告されました。イタリアのパドヴァ大学とトリエステ大学の研究チームは、ミズクラゲが見たものをしばらく覚え、そのあと現れた“新しいもの”により強く反応することを示しました。大学の発表では、この行動は「新しいものへの引かれやすさ」と説明されており、単に水の流れに乗って動いているだけではない可能性があると紹介されています。
脳がないからこそ
この研究で注目されたのは、ミズクラゲがいわゆる「脳らしい脳」を持たない動物だという点です。体のまわりに広がる神経のしくみで動いているため、これまで複雑な行動とは結びつけて考えられにくい存在でした。ところが研究チームは、こうしたミズクラゲにも記憶を思わせる反応が見られると報告しています。
研究で見られた反応とは
大学の発表によると、若いミズクラゲを水槽で観察したところ、最初に見せた物体を記憶し、そのあと別の物体が加わると、後から出てきた新しい物体のほうを選ぶ傾向が確認されました。しかもその情報は少なくとも1分ほど保たれていたとされます。たった1分と思うかもしれませんが、脳を持たないと考えられてきた動物で、このような反応が見られたことはとても興味深い発見です。
「意思がある」ってほんと?うそ?
もちろん、これをすぐに「ミズクラゲに人間のような意思がある」と言い切ることはできません。今回の論文の要点も、ミズクラゲに人間の心を当てはめることではなく、まとまった脳がなくても、行動の選び方に意外な豊かさがあるかもしれないという点にあります。PubMedに掲載された論文要約でも、この研究は「好奇心に似た行動」の証拠として紹介され、複雑な行動は必ずしも中央の脳だけに結びつくものではない、という考えを問い直しています。
水族館でミズクラゲを見るとき、私たちはつい「流されているだけ」と思ってしまいます。けれど今回の研究を知ると、その動きが少し違って見えてきます。目の前を漂う一匹一匹が、周囲の変化を感じ取り、少し前の出来事を残しながら動いているのかもしれません。やわらかく静かな姿の奥に、まだ知られていない世界がある。ミズクラゲは、そんな海の不思議を改めて教えてくれる存在なのです。
参考文献
- Curious Jellyfish Open New Avenues for Nervous System Research. Università di Padova. (2025-11-04)
- Curious Jellyfish Open New Avenues for Nervous System Research. Dipartimento di Psicologia Generale. (2025-11-06)
- Challenging the central brain dogma: new experimental insights from the moon jellyfish (Aurelia spp.). PubMed, PMID: 41178612. (2025-11-02)
- Challenging the central brain dogma: new experimental insights from the moon jellyfish (Aurelia spp.). Behavioral and Brain Sciences, Cambridge Core. (2025-01-06)
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