ふわり海の小さな隠れ家…リクノリーザ・ルサーナ
クモガニの一種であるLibinia ferreiraeとクラゲのLychnorhiza lucernaは共生しています。特に、カニの赤ちゃん(幼体)がクラゲとどのような関係を持ち、成長とともにどのように変化するのかを詳しく調査されています。研究の結果、Libinia ferreiraeの幼体は、Lychnorhiza lucernaの傘の内側や口の周り(口腕)にくっついて生活していることがわかりました。このクラゲとの関係には、以下のようなメリットがあります。
捕食者(天敵)から身を守れる
クラゲは毒を持っているため、多くの魚や他の捕食者が近づきにくくなります。そのため、カニの幼体はクラゲの体を「隠れ家」として利用していると考えられます。
移動手段として利用
幼体のカニは自分で遠くまで移動するのが難しいですが、クラゲにくっつくことで広い範囲を移動できます。これにより、より多くの食べ物を探したり、安全な場所へ移動したりできる可能性があります。
しかし、カニが成長するとこの関係は変化します。成体になったLibinia ferreiraeはクラゲから離れ、自分の力で生きていくようになります。このことから、この共生関係は一生続くものではなく、カニの幼体の間だけ特に強く見られることがわかりました。
この研究は、海の生き物たちがどのように協力しながら生きているのかを知るうえで重要です。特に、カニの幼体がクラゲを「一時的な家」として利用する戦略は、外敵の多い海で生き延びるための知恵といえます。
さらに…
また、Lychnorhiza lucernaはカニだけでなく、エビ(Periclimenes属)や特定の魚(Chloroscombrus chrysurusやHemicaranx amblyrhynchus)とも共生していることが知られています。このように、クラゲは多くの生き物にとって大切な「移動式の住みか」になっているのです。
この研究からわかるように、海の生き物たちはお互いに影響を与え合いながら生きています。こうした関係を詳しく知ることは、海の生態系を守るためにもとても大切なことです。
引用
クモガニLibinia ferreiraeの個体発生的ニッチ特化:クラゲLychnorhiza lucernaとの共生
https://academic.oup.com/cz/article/68/5/549/6425680
クラゲLychnorhiza lucernaの生活環(刺胞動物:Rhizostomeae)
https://link.springer.com/article/10.1007/s00227-008-1050-8
Lychnorhiza lucernaの生殖生物学(刺胞動物:Scyphozoa:Rhizostomeae):有性生殖に関連する個体特性
https://www.tandfonline.com/doi/pdf/10.1080/17451000.2011.616897
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