海の住まい…リクノリーザ・ルサーナ

クラゲの中にカニが住んでいる? リクノリーザ・ルサーナは「海を泳ぐ隠れ家」

南米のラプラタ川河口域には、リクノリーザ・ルサーナという大型のクラゲが生息しています。このクラゲをよく調べてみると、傘の内側にカニが入り込んでいることがあります。

研究者が843匹のリクノリーザ・ルサーナを調査したところ、69匹からクモガニの仲間が見つかりました。その割合は8.2%。およそ12匹に1匹のクラゲが、カニを「同居」させていた計算です。

カニが暮らすのは、傘の内側の「個室」

カニが見つかったのは、クラゲの傘の内側にある袋状の空間です。そこには、オスとメスの成体だけでなく、まだ小さなカニや、脱皮したばかりで甲羅が柔らかいカニも入っていました。

脱皮直後のカニは甲羅が柔らかく、外敵に襲われやすい状態です。そんなカニにとって、刺胞を持つクラゲの内側は、身を守るのに都合のよい場所なのかもしれません。まるでクラゲが、カニを乗せて泳ぐ「動く避難所」になっているようです。

安全なだけでなく、食事にもありつける?

カニの胃の中を調べると、小さな動物プランクトンの一種であるカイアシ類の残骸と、クラゲの刺胞が見つかりました。この結果から研究者たちは、カニがクラゲの中で外敵から身を守るだけでなく、食べ物を得ている可能性もあると考えています。

ただし、カニがクラゲの捕まえた餌を食べているのか、クラゲの体の一部も食べているのかは、まだはっきりしていません。カニには大きな利点がありそうですが、クラゲ側にどのような利益や不利益があるのかも、まだ十分には分かっていません。

カニはいつ、クラゲに乗り込むのか

カニがクラゲの中へ入る瞬間も、まだ確認されていません。考えられている可能性は二つあります。クラゲに乗って移動することがカニにとって役立っている可能性もありますが、この「移動サービス」については、まだ確かな証拠がありません。

  • カニがまだ水中を漂う幼生の時期にクラゲへ入り、そのまま成長する
  • クラゲが海底近くまで下りてきたときに、成長したカニが海底から乗り込む
  • 1匹のクラゲが、小さな生態系になる

    一見すると、クラゲは1匹だけで静かに泳いでいるように見えます。しかし、その傘の下をのぞけば、カニが身を隠し、食べ物を探し、ときには成長しているかもしれません。リクノリーザ・ルサーナは、ただ海を漂うクラゲではありません。

    ほかの生き物を乗せて泳ぐ、小さな「動く生態系」ですね。

    このクラゲの名前

    属名:リクノリーザ・ルサーナ
    学名:Lychnorhiza lucerna

    出典:
    Sal Moyano et al.(2012)
    “The symbiotic relationship between the scyphomedusa Lychnorhiza lucerna and the decapod crustacean Libinia spinosa in the Río de la Plata”
    https://doi.org/10.1007/s00227-012-1980-z

    その他、面白ネタがたくさんあるクラゲなので、別の機会に紹介します!。

    • クモガニとの“浮遊保育”のような共生
    • 季節と温度に依存する繁殖サイクル
    • 野生エフィラの初確認
    • 食用クラゲ候補としての研究

    ほんわかクラゲの楽しみ方

    「ほんわかクラゲの楽しみ方・ゆらゆら、ふらふわ。眺めて、癒される。」
    クラゲの柔らかで優しい魅力と不思議な生態をわかりやすく伝える、
    クラゲ初心者にもお勧めの一冊です。

    ・平山ヒロフミ著
    ・アクアパーク品川監修
    ・誠文堂新光社

    Amazonに見に行く

    おすすめ

    コメントを残す

    メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

    このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください