ふわり…リクノリーザ・ルサーナ

Lychnorhiza lucerna(リクノリーザルサーナ)
属名:リクノリーザ・ルサーナ
学名:Lychnorhiza lucerna
リクノリーザ・ルサーナ(Lychnorhiza lucerna)の「生活環」をめぐる研究は、クラゲを飼育・展示する人や生態に興味がある人にとって、かなり興味深い内容です。結論だけ先に言うと、このクラゲは「暖かい季節に大量の新しい個体が生まれやすい一方、水温が低くても、少しの環境変化に耐えながら発生しうる」柔軟な生活環を持っていることが、近年の研究から分かってきています。
アルゼンチン
まず、2008年の研究(Schiariti et al., 2008)では、アルゼンチンのラプラタ川河口付近の海岸で採集された成熟したリクノリーザ・ルサーナのクラゲからポリプを育て、そのポリプが約46日後にクラゲの幼生「エフィラ」を次々と生み出す様子が、水槽の中で観察されています。1つのポリプが4か月で最大60匹近くのエフィラを出す様子や、水温19~22℃あたりでエフィラが成長する様子が詳しく報告されており、クラゲの「ポリプ段階の柔軟性」が見えてきます。
参考:https://cir.nii.ac.jp/crid/1362262943896511104
ブラジル
次に、2021年の研究(Nagata & Jordano et al., 2021)では、ブラジル南東部のパトス・ラグーン河口域やその周辺の沿岸・ラグーンで、自然に生息しているクラゲの小さな幼生(エフィラ)が初めて詳しく記録されています。10個のエフィラは、水温16~27℃、塩分12~33といった広い範囲で見つかり、そのうち9個は12月~2月の暖かい時期、水温20℃以上・塩分30以上の環境で見つかりました。一方で、1個は冬に水温16℃、塩分12という低い環境で見つかっており、「環境がかなり変わっても、この種は一定の変化に耐えられる可能性がある」ことが示唆されています。この研究のおかげで、「新しいクラゲは暖かい季節に集中して生まれるが、冬でもほんの少しずつは生まれる」イメージが、実データとして固まってきたのです。
参考:https://www.scielo.br/j/aabc/a/GYGzrBPkwLFJL7TYDbN9HNq/?format=html&lang=en
これらの研究をまとめると、リクノリーザ・ルサーナは、とくに「水温が高めの季節に集中して生まれ、冬期にもごく少量が発生する」という傾向があります。
ある程度幅を持って、かつエフィラになる量が違うと言うことは、よく観察しているとその季節の水温の違いや、長期的には気候変動に気づくきっかけになるかもしれませんね。
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